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黄金時代車。そして靴。

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映画、「グラン・トリノ」を観た。
以前、漠然と観た映画だが、たまに1度観たときと、2度目観たときの感覚が大きく違う。ということを、1度目ではっきり感じることがある。「ファントム・オブ・パラダイス」も私にとってそういう映画で、初見はワケが解らない。なんじゃこの映画は。なめとんのか。って、観た事を後悔、までは行かずとも、ひたすら映画の内容に置いていかれる、鑑賞行為独自の孤独感をじんじん味あわされたものであった。しかし、そんな映画だったけれども、孤独の中に、これは絶対良い映画だ!という不思議な確信があった。そして事実、2度目に観たときは、このヘンな映画は生涯最高の1本になっていた。「グラン・トリノ」この映画にも、似たものを感じていた。
内容については、以前大体要約したので、あえてあまり触れない。今回触れたいのは、この映画のテーマである。ある意味、このブログ界隈においても、最も大事なテーマだと私は思っているからである。

アメリカは失われている!
こんなものは、ビン靴を集めていて、悲しいかな、逆説的に最も感じるところである。だって、そうでしょう。正直現在のアメリカ靴に本気の納得を、あなたはできますか?できないからこんな辺境の地まで来てしまったのではないですか?
正直90年代初頭なら、まだぎりぎりで納得できた。皇帝ことインペリアルは、文句を垂れながら、ここまではぎりぎり良い品と思えた。それに比べ、現在の明らかに雑でペラい、比較をすると思ってしまう。アレはなんなのだろうか。
オールデンは別かもしれない。しかし私は例外としたい。というのは、ふざけきった価格。あんだけの価格なら、逆に良いものができなければ、只の無能会社である。半額以下のリーガルを見せ付けてやりたい。
ネトルトンだって同じである。復活は嬉しい。だがしかし、チャレンジしてみるにはいくらなんでも高額が過ぎる。そのくせ細かいところを見るに、明らかに失われているクオリティを感じる。
アレンも頑張っているのは解るけれども、ここ10年くらいはちょっと弱いと思う。(まぁここはオールデンと差別化を意図的にやった結果だと思うけれども)
そういう意味では、このブログで何度も話しに出しているけれども、フローシャイム125周年モデルは本気で、惜しい!一品だった。あれだよ、ああいう気合をほしかったんだよ!ただ方向性が明らかにズレているけれどもな。

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ただデカイものを作っていただけじゃなかったんだよ・・・。

口惜しいがかつてアメリカは凄かった。人の国を焼いてまで手に入れたミッドセンチュリーが、ゴールデンエイジと呼ばれるのも解る。しかし今はそういう時代じゃない。無念だけれども、今はかつての、ステキなアメリカではもう無い。シュワちゃんのようなマッシヴなイメージからみるみる痩せ、へっぽこで、映画一つ作るのに、一々チャイナ国の顔色を伺う悲しい有様だ。どれだけ経済が潤った顧客であろうとも、ジャップってクソだよね!という、強気なファックの精神は失われたようである。そして日本車で家に帰るのだ。便利だもんね。(アメ車は本気で性能低いし・・・)
まぁ、失われたものは仕方が無い。だが、じゃあ終わりなのか。そうなのか?これから取り戻していくべきではないのだろうか、反省を踏まえて。

私は文化を他国に売り渡す国を、内心アホだと思っている。そういう意味では、アメリカがかつての良いものを売り払っている姿はアホだと思うけれども、まぁ、売りもせずに、ただ焼き払った中国よりはいくらかマシなのだろう。
ビン靴に限定して見るに、値上がりしたところ、それを投資の対象としてしか見ておらず、ばんばん売るのは、アメリカさんは迂闊だなぁ。と思うばかりである。そこを突く私はがきく口ではないけれども。
まぁ日本だって偉そうなことはいえない。日本でいうなれば、「日本っぽいものは格好悪いので捨てましょう!欧米の真似してりゃイケてるよ!」と風潮するメディアは、最悪のアホだと思っている。子供にそれをやっているのだから、悪質極まりない。だから基本大嫌いであります。
この映画のテーマの1つなんですね。「古き良きを慮ってなにが悪い」

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これに限らず、今是非妥協せずに出してほしいものは沢山あります、フローシャイムさん。

何事にも、一々アメリカの古いものを持ち出し、最近のあらゆるものに怒りすら持つ主人公。その象徴として、72年式、フォード、グラン・トリノ。それを眺め、磨く姿。最近、を見てひたすら嘆く、嫌なジジイ、イーストウッド。表情が一々上手い。
わざわざ棚を自作して、アメリカの古い枯れ果てた靴を並べ、怪しい方法で保湿し、破れぬかと心配しながら足を通す。馬油を沁み込ませ、馬毛のブラシで、ドイツやフランスからの怪しいクリームを塗ってである。そんな、極東で靴流通センターの靴に溜め息を吐き、異国の遠き時代に憧れる、ビン靴愛好家として、思うところを持たずにはいられませんでした。
この映画は、「古き良きアメリカを受け継ぐのは、白人であるとは限らない」という第2のテーマを持っていまして、投げ捨てられるように売られた文化を、私は受け継いでいるのだなぁ。と勝手に思ってみたりする。
だってこんな頑張って作られた品ですよ。フローシャイムはあの異常なステッチ、なに考えてやってたんだ。クリッパーはもう例外としても、80sのインペリアルだって、ロングウイングは一々2.2ステッチという狂気的な作業である。ぶん投げるだなんて、なんと勿体無い。ちゃんと拾って履いてあげましょう。是非、文化を受け継ぎましょう。ビン靴ブームが無ければ、あと20年もすれば、アメリカに真っ当な短靴なんて無かったと思われるようなことになっていたかもしれない。私がチャーチやクロケットを履かずに、こんなカビ臭いガラクタの山に飛び込んだのは、古着屋で見てしまった、その心意気をかわずにはいられなかったからである。
この日本のバイヤーが時折イライラさせてくれる、甘いところあり、すっぱいところありのビン靴ブーム。結構本気でこの流れがフローシャムの復権に繋がってくれないかなぁ。と思っているんですよね。あまりの思い上がりでしょうけれども、思ってしまうのです。125周年記念モデルがダメでも諦めないで頂きたい。126年目に、是非いいものを出してほしいものです。今ならネットで軽く検索すれば、人気モデルはいっぱい出るよ!なんなら現物だって見せてやらぁ。

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現物、結構気合入った出来でした。

リーガルW105。このレベルで出してくれたら十分過ぎます。4万円。買っちゃうよ、私。
逆にリーガルがこのレベルで、ビン靴をもっと理解して出してくれると、また面白いと思います。
そんな、例え多少形が変ろうとも、かつてのアメリカの良さには死なないで頂きたいものである。
しかし、まったく皮肉な話である。日本を瓦礫の山にして作ったアメリカの栄華を、瓦礫の山の国に買われているのだ。しかし古代ローマが素晴らしい国だったと同じように、ミッドセンチュリーメリケンさんは素晴らしかったと私だって思うね。
あっ、ただし、トランプ、テメーはダメだ!テメーが見ているのは、格差とバブルの物質主義、消費主義の悲惨な80sヤッピー時代だ。似てるけれど全然違う。
ちょっとクリント・イーストウッド老人の、説教臭さがうつった記事でしたが、映画、「グラン・トリノ」オススメです。

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評価などおこがましいですが、星8個半。
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コメント

No title

こんばんは。

先日4足分・2諭吉納めたせいで放心状態&傷心状態です(≡д≡)

メイドインアメリカは今後どうなるんでしょうね?
以前トランプ大統領になってからアメリカ回帰ということで、日本から縫製のノウハウをアメリカに逆輸入しようとしている人の記事を見ましたが、う~ん。
合理性第一のアメリカ(正確には外ヅラを合理性で纏っているアメリカ)がどこまで追求できるのか…

そして、『ドマイノリティのメイドインアメリカ信奉者』以外の人にも価値を理解させられるのかどうか…

結論:是非日本に頑張っていただきたい\(^o^)/

No title

>たかさん
是非拝見させていただきたいですねぇ・・・。楽しみに待っています。

メイドインアメリカに関してですが、記事でいう程期待してないというのが本音でしょうか・・・(笑)
現在のフローシャイムに関しては、もう、こうあってほしい!という願望ですね。やる気はないこともなさそうなのですが・・・。
アメリカにもいるんですよね、こういう回帰主義的にかつてのよさを取り戻そう。とする人達も。ですが、上手くやっている例を見たことがありません。何故・・・本人達がこんなに解っていないんだ・・・。と問いただしたくなるようなものばかりです。実際は良質なウエスタンブーツを作れるんだから、できないなんてことはない筈なんですけれどね。

そして結局日本がリードしていくしかないんですかね。
しかしそれには下地が整って無さ過ぎる。まだまだビンテージ頼りですね。

こういうアツい文章、私好きです。

映画は殆ど見ないのですが(すみません、感情移入し過ぎて疲れちゃうんです)、仰る事はなんとなく分かります。
125thは…外野席の私でもコレジャナイと思いましたから。

リーガルいいですね。
街でこれ履いて歩いている方がいたら、後ろついてって観察しちゃうかも笑。
マイサイズがこの値段で買えるのだったら、私なら古靴は買わないかもしれないです。

ひょっとしたらフローシャイムより、リーガルがアメリカ旧靴ラインを出す方が早かったりして…なんて思ってしまいました。

No title

>HALさん
映画は疲労も込みで楽しむものなのです!
疲れるかどうかは映画の良し悪しの判断基準といっていいかと。
125周年モデルは、まるでハズレてる。のではなく、惜しい!という方のコレジャナイ感なので、嬉しくも悲しい不思議な靴です。

リーガルは現物を軽く見た程度ですが・・・全然悪くないです。
むしろ限りない合格点かと・・・などと上から目線評価でしょうか。良い品です。革はシボで、ロングウイングをよく解っている選択。特にステッチにちゃんと気合が入っているのが好印象でした。茶に黒ステッチは魅力的。
是非70sくらいではなく、それ以前、40s~50sくらいを再現していただきたいですね。
ロカビリー関係の業界ではやっているんですが・・・これもまたコレジャナイ感が酷くて・・・やはりリーガルさん、お願いします。

最近ebay見てて思うんですが。
海外発送OKな設定なのに、日本への発送は設定してないセラーがチラホラいませんか?
そういうセラーにコンタクトしてみたら実際発送断られましたしねえ。
これって以前からそうなんでしょうか?
思い過ごしなのかもですが、日本にはアメリカの遺産は渡さんぞ的なものを感じてしまいました。

No title

>Ironさん
英語圏の人間以外は嫌。という方はたまにいらっしゃいますね。言葉的な事情なのでしょうが・・・。
たまに自国以外は一切ノー。という方もいらっしゃいます。
ついにオーストラリア靴に手を出すときが!と昨日なんですが、発送国は自国のみ。返事すらいただけませんでした。
あとたまに、古着屋さんが向こうで無茶な買い付けで無礼を働いて拒否されているのでは・・・?なんて思ったり(笑)

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